桜姫東文章 サクラヒメアズマブンショウ

作品の概要

執筆者 / 小宮暁子
演目名 桜姫東文章
作者 四世鶴屋南北
初演 1817(文化14)年3月 江戸・河原崎座
概要 大南北63歳、油の乗り切った時期に書かれた。伝統的な「清玄桜姫」の世界ながら、桜姫の堂上言葉と安女郎言葉のないまぜなどに南北流の奇抜な技巧がたっぷり盛られている。桜姫にはモデルがあったという。初演の10年ほど前に品川の女郎屋に京の日野中納言の娘と名乗る女郎がいて、官女のような衣裳を着たり、客に和歌を贈ったりしたと蜀山人の「玉川砂利」に記述がある。
桜姫は「目千両」と称された42歳の五代目岩井半四郎、清玄と権助二役は27歳の七代目市川團十郎で初演された。大入りを続けた狂言だったが、江戸時代に再演の記録はなく、110年後の昭和2年に初代中村吉右衛門の清玄、三代目中村時蔵の桜姫で上演された。現在の定本は1967(昭和42)年3月に開場まもない国立劇場で郡司正勝補綴、演出で四代目中村雀右衛門の桜姫で通し上演されたもの。この折の白菊丸はまだ十代の坂東玉三郎で、時分の花といおうか香りたつような稚児ぶりで、8年後の1975(昭和50)年6月新橋演舞場での再演では美事、桜姫に転生した。以後、海老蔵(十二代目市川團十郎)、玉三郎、孝夫(十五代目片岡仁左衛門)の三優共演などで人気演目となった。コクーン歌舞伎でも、新演出で上演されている。


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[左から]桜姫(中村福助)、清玄(片岡愛之助) 平成24年8月新橋演舞場

●ページ公開日 平成28年1月28日
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